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共通キャリア・スキルフレームワーク | 出題範囲(出題の考え方) | ||||
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分野 | 大分類 | 中分類 | |||
ス ト ラ テ ジ 系 |
1 | 企業と法務 | 1 | 企業活動 |
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2 | 法務 |
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2 | 経営戦略 | 3 | 経営戦略マネジメント |
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4 | 技術戦略マネジメント |
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5 | ビジネスインダストリ |
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3 | システム戦略 | 6 | システム戦略 |
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7 | システム企画 |
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情報システム戦略では,自社の経営戦略,事業戦略を実現することを目的に,情報システムが構築されることを理解する。
EA(Enterprise Architecture)とは,組織の全体最適化の観点より,組織全体の業務とシステムを統一的な手法でモデル化し,業務とシステムを同時に改善することを目的とした,組織の設計・管理手法のことである。
従来,会計処理,生産管理など現場の効率化を優先してITが導入されてきたが,このような「部分最適化」では十分なIT投資効果は期待できないことが明らかとなってきた。 こうした状況から生み出された新しい概念が,EA(Enterprise Architecture)である。
政府のEA導入の目的としては,大きく次の3つが挙げられる。 これらは,政府と同様の課題を持つ地方自治体にも当てはまり,民間企業でも同じように活用できるものと考えられる。
EAは,前述の3つの目的を実現するため,次の4つの役割を持っている。
EAは,組織全体として業務プロセスや情報システムの構造,利用する技術などを,整理・体系化したものであり,以下の4つの体系から構成されている。
体系 | 説明 | 成果物 |
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1. 政策・業務体系 (BA:Business Architecture) |
業務機能の構成 業務参照モデルに基づく全府省共通の定義に基づき,行政サービスの機能を体系化 (現在の組織や業務手順・呼称にこだわらない点に留意) |
業務説明書,機能構成図(DMM),機能情報関連図(DFD),業務流れ図(WFA)など |
2. データ体系 (DA:Data Architecture) |
業務機能に必要となる情報の構成 各行政機能で入力し,出力されるデータの構成 |
情報体系整理図(UML)・情報分析図(CRUD),実体関連ダイアグラム(ERD),データ定義表など |
3. 適用処理体系 (AA:Application Architecture) |
業務機能と情報の流れをまとめた行政サービスの固まりの構成 技術とサービスの成熟度を踏まえたサービス群(バックオフィス,顧客サービスなど)の構成 |
情報システム関連図,情報システム機能構成図など |
4. 技術体系 (TA:Technology Architecture) |
各サービスを実現するための技術の構成 各サービスの固まりを実現するための,ソフトウエア,ハードウエア,ネットワークそれぞれの技術の構成 |
ネットワーク構成図,ソフトウェア構成図,ハードウェア構成図など |
経営戦略や事業戦略は,経営環境の分析やSWOT分析などを通じて,具体的な目標が設定されることを理解する。
バランススコアカード(BSC:Balance Score Card)を用いる場合には,以下の4つの視点から戦略目標を立案する。
戦略目標の抽出が終わったら,各戦略目標の因果関係を上記の4つの視点に分けて図示した戦略マップを作成する。 なお,4つの視点の上位は下位の「原因・結果」,上位は下位の「目的・手段」となっている。
業務モデル(Business Model:ビジネスモデル)とは, 情報システム戦略の立案において,情報システムのあるべき姿を明確にするために,対象業務の活動やデータの流れをモデル化したもの。
業務モデルは,何に着目してモデル化を行うかによって,以下のような種類がある。
モデル | 着目点 | 説明 |
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業務プロセスモデル (Business Process Model) |
業務活動の工程・手順 | 業務プロセスモデルを作成するために,業務の工程・手順を統一化された形式でわかりやすく図解化することをプロセスモデリング(Process Modeling)という。 |
データモデル (Data Model) |
業務で取り扱うデータの構造やデータ同士の関連 | データモデルを作成するために,業務で使用するデータの構造やデータ同士の関連を統一化された形式で表現することをデータモデリング(Data Modeling)という。 |
業務プロセルモデルおよびデータモデルの代表的な記述法としては,以下のようなものがある。
モデル | 記述法の例 |
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業務プロセスモデル (Business Process Model) |
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データモデル (Data Model) |
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各記述法の詳細は以下のとおりである。
記述法 | 種類 | 説明 |
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DFD (Data Flow Diagram) |
業務プロセスモデル | データの流れ(発生・吸収・処理・蓄積)に着目して,業務プロセスをモデル化して図に表したもの。 ①データフロー(データの流れ),②プロセス(処理),③データストア(ファイル)(データの保存場所),④外部エンティティ(データ源泉・吸収)(データを使うシステムや人) の4つの基本要素で抽象化して表現する。 |
業務フロー図 (Workflow Chart) |
業務プロセスモデル | 業務の処理手順を,流れ図記号を用いて図に表したもの。 |
E-R図 (Entity-Relationship Diagram:実体関連図) |
データモデル | 実体(Entity)と実体間の関連(Relationship)という概念を用いて,データの構造やデータ同士の関連を図に表したもの。 |
UML (Unified Modeling Language:統一モデリング言語) |
業務プロセスモデル/データモデル | ユースケース図(Use Case Diagram)・アクティビティ図(Activity Diagram)・状態遷移図(State Transition Diagram)により,業務の処理の流れを図式的化することができる。 クラス図(Class Diagram)により,データの構造やデータ同士の関連を図式化することができる。 |
ユースケース図 (Use Case Diagram) |
業務プロセスモデル | システムにはどのような利用者(Actor:アクタ)が存在し,それぞれの利用者はどのような操作(Use Case:ユースケース)をするかを図に表したもの。 |
アクティビティ図 (Activity Diagram) |
業務プロセスモデル | フローチャート(Flow Chart)に似た図で,業務の処理手順やプログラムの制御の流れを図に表したもの。 |
状態遷移図 (State Transition Diagram) |
業務プロセスモデル | 状態の遷移に着目して,業務の処理やプログラムの制御手順などを図に表したもの。 |
クラス図 (Class Diagram) |
データモデル | データの構造やデータ同士の関連からシステムの静的な構造を図に表したもの。 |
DFD(Data Flow Diagram)とは,データの流れ(発生・吸収・処理・蓄積)に着目して,業務プロセスをモデル化して図に表したもの。
以下の4つの基本要素で抽象化して表現する。
# | 名称 | 意味 | 記号 |
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① | データフロー | データの流れ | |
② | プロセス | 処理 | |
③ | データストア (ファイル) |
データの保存場所 | |
④ | 外部エンティティ (データ源泉・吸収) |
データを使うシステムや人 |
DFDによる記述例を以下に示す。
E-R図(Entity-Relationship Diagram:実体関連図)とは,実体(Entity)と実体間の関連(Relationship)という概念を用いて,データの構造やデータ同士の関連を図に表したもの。
E-R図では,何種類かの記法が提案されているが,業務モデルの記述には,①実体(Entity),②関連(Relationship),③属性(Attribute)の3つの要素を使用するPeter Chen記法が用いられることが多い。
Peter Chen記法には,他の記法にはない以下のような特徴がある。
Peter Chen記法の例を以下に示す(下線は,実体を識別するために利用される属性である主キー(Primary Key)を示す)。
一方,データベース設計(論理設計および物理設計)では,実体間の関連を「1対1」,「1対多」(「多対1」),「多対多」の4種類に単純化した,バックマン線図(Backman Diagram)などが用いられる。
バックマン線図の例を以下に示す(下線は主キーを示し,破線は,他の実体との対応付けに利用される属性である外部キー(Foreign Key)を示す)。
なお,ITパスポートのテクノロジ分野では,バックマン線図のことを単にE-R図と呼ぶことが多いので,注意が必要である。
業務プロセスのモデル化に関する用語として,以下のようなものがある。
用語 | 意味 |
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BPR (Business Process Reengineering) |
業務プロセスを抜本的に改革し,ITを駆使して業務の処理能力とコスト効率を高めること。 |
BPM (Business Process Management:業務プロセス管理) |
業務プロセスに,分析・設計,実行・実施,監視,改善・処置という管理サイクルを適用することで継続的改善を行うこと,および,そのために利用されるツール。 |
ワークフロー (Workflow) |
企業における業務の処理手順,および,その処理手順を規定し図解化したもの。 |
ワークフローシステム (Workflow Management System) |
電子化された申請書や通知書をあらかじめ決められた作業手順(決裁ルート)に従い,集配信(デリバリー)し,決裁処理を行うシステム。 業務のスピード向上および効率化,内部統制強化などが期待できる。 |
業務改善,問題解決
グループウェア(Groupware)とは,共通の仕事や目的に対して働く組織やグループを支援し,共同作業のための環境や仕組みを提供するソフトウェアのこと。
以下のような機能を提供することで,利用者間におけるコミュニケーションの円滑化や情報の共有化を実現する。
SNS(Social Networking Service)とは,会員になったユーザが閲覧できる,閉じたコミュニティを形成するインターネットサービスのこと。
テレビ会議,電子メール,電子掲示板,ブログ,チャット
代表的なソリューションの形態として,以下のようなものがある。
名称 | 説明 |
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SaaS (Software as a Service) |
インターネットを通じてアプリケーションの機能を利用者に提供するサービス。 利用者は,ASP同様に事業者のサーバにアクセスして契約に応じた機能を利用するが,複数の企業でサーバを共有する「マルチテナント方式」が特徴。 |
ASP (Application Service Provider) |
インターネットを通じてアプリケーションの機能を利用者に提供する事業者,その事業者により提供されるサービス,及び,そのようなサービスを提供するビジネスモデル。 利用者は,SaaS同様に事業者のサーバにアクセスして契約に応じた機能を利用する。 提供されるアプリケーションは,ERPやCRMなどの大規模な業務システムから,ワープロや表計算ソフトなど基本的なアプリケーションまで広範囲にわたる。 |
ホスティングサービス (Hosting Service) |
事業者が保有するサーバのディスクスペースの一部または全部を利用者に提供するサービス。 付加サービスとして,掲示板やブログなどのCGIや,独自ドメインの提供を行っている場合もある。 |
ハウジングサービス (Housing Service) |
ISPの局内に利用者が保有する通信機器やサーバを設置するサービス。 事業者は場所と電源,接続回線を提供する。 |
SI (System Integration: システムインテグレーション) サービス |
企業の情報システムの企画,設計,開発,構築,導入,保守,運用などを一貫して請負うサービス。 これらの工程のうちのいくつかを請け負う場合もある。 |
アウトソーシング(Out-sourcing)とは,特定の業務内容について社外へ委託することである。
利点としては,社内の業務を減らすことにより従来の業務に専念できたり,新規業務に対応する余裕ができたりする。
また,専門業者に委託する場合には,自社で対応していた場合より品質の高い対応が可能になる。
代表的なシステム設計・構築の手法として,POA,DOA,POAなどがある。
設計手法 | 説明 | |
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POA (Process Oriented Approach: プロセス指向アプローチ) |
業務の手順や過程に着目してシステム設計・構築を行う手法。 POAで構築されたシステムは部署ごとに独立したシステムとなることが多く,部署を超えたシステムの連携が難しいことが多い。 また,業務内容に変更があると,大幅なシステムの改修が必要になったり,システム改修により過去のデータが利用できなくなったりすることが多い。 |
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DOA (Data Oriented Architecture: データ指向アーキテクチャ) |
データの構造や流れに着目してシステム設計・構築を行う手法。 企業内の業務データを統一的に扱うデータベースを最初に作ることで,個々のシステム設計・構築をシンプルにするという手法である。 統一的なデータベースを中心に各部署のシステムが構築されているため,部署を超えたシステムの連携が容易である。 また,業務内容の変更があっても,業務データの変更がない限りは,システムの改修が容易である。 |
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SOA (Service Oriented Architecture: サービス指向アーキテクチャ) |
ソフトウェアの機能やパーツを独立したサービスとして組み合わせることで,システム全体を構築する手法。 個々のソフトウェアはどのシステムとも連携できるよう標準化されているので,システム変更などにおいても素早く対応することができる。 |
情報リテラシとは,コンピュータやアプリケーションソフトなどの情報技術を活用し,業務遂行のために情報の検索,整理,分析,発信を行う能力のことである。
【情報システムによって蓄積されたデータを分析し,担当業務における業務改善や問題解決に活用する。】
データマイニング(Data Mining)とは,データベースに蓄積されている大量の生データに対し,統計やパターン認識などの手法を用いることによって,認識されていなかった規則性や関係性を導き出す手法のことである。
データウェアハウス(DWH:Data WareHouse)とは,企業の様々な活動を介して得られた大量のデータを整理・統合して蓄積しておき,意思決定支援などに利用するものである。
【情報システムを活用するための教育の実施など,普及啓発活動の重要性。】
e-ラーニング(e-Learning:Electronic Learning)とは,PCや携帯端末などの機器を用いて,インターネットなどのネットワークを活用した学習・教育のことである。
集合研修と比較した場合,e-ラーニングのメリット・デメリットとしては以下のようなものがある。
ディジタルディバイド(Digital Divide:情報格差)とは,PC保有の有無などによって,情報技術をもつ者ともたない者との間に生じる,情報化が生む経済格差のこと。
すぎうら しげき <>