情報システムの運用(第8回)

システム戦略(ストラテジ系・システム戦略)


配布資料

第8回(問1~問42)
解答なし解答あり解説(要ID・パスワード)
第8回 補足(問1~問13)
解答なし解答あり解説(要ID・パスワード)

訂正

(なし)


中分類6 「システム戦略」

【位置付け】

表: ITパスポート出題範囲(ストラテジ系)
共通キャリア・スキルフレームワーク 出題範囲(出題の考え方)
分野 大分類 中分類





1企業と法務 1企業活動
  • 企業活動や経営管理に関する基本的な考え方を問う。
  • 身近な業務を分析し,課題を解決する手法や,PDCA の考え方,作業計画,パレート図などの手法を問う。
  • 業務フローなど業務を把握する際のビジュアル表現について問う。
  • 財務諸表,損益分岐点など会計と財務の基本的な考え方を問う。
2法務
  • 知的財産権(著作権法,産業財産権関連法規など),セキュリティ関連法規(不正アクセス禁止法など),個人情報保護法,労働基準法,労働者派遣法など,身近な職場の法律を問う。
  • ライセンス形態,ライセンス管理など,ソフトウェアライセンスの考え方,特徴を問う。
  • コンプライアンス,コーポレートガバナンスなど,企業の規範に関する考え方を問う。
  • 標準化の意義を問う。
2経営戦略 3経営戦略マネジメント
  • SWOT 分析,プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM),顧客満足度,CRM,SCM などの代表的な経営情報分析手法や経営管理システムに関する基本的な考え方を問う。
  • 表計算ソフト,データベースソフトなどオフィスツール(ソフトウェアパッケージ)の利用に関する理解を問う。
4技術戦略マネジメント
  • 技術開発戦略の意義,目的などに関する理解を問う。
5ビジネスインダストリ
  • 電子商取引,POS システム,IC カード・RFID 応用システムなど,各種ビジネス分野での代表的なシステムの特徴を問う。
  • エンジニアリング分野や電子商取引での代表的なシステムの特徴を問う。
  • 情報家電や組込みシステムの特徴,動向などを問う。
3システム戦略 6システム戦略
  • 情報システム戦略の意義と目的,戦略目標,業務改善,問題解決などに向けた考え方を問う。
  • 業務モデルにおける代表的なモデリングの考え方を問う。
  • コミュニケーションにおけるグループウェアやオフィスツールなどの効果的な利用について問う。
  • コンピュータ及びネットワークを利用した業務の効率化の目的,考え方について問う。
  • クラウドコンピューティングなど代表的なサービスを通じて,ソリューションビジネスの考え方を問う。
  • システム活用促進・評価活動の意義と目的を問う。
7システム企画
  • システム化計画の目的を問う。
  • 現状分析などに基づく業務要件定義の目的を問う。
  • 見積書,提案依頼書(RFP),提案書の流れなど調達の基本的な流れを問う。

【小分類】

小分類18 「情報システム戦略」

【目標】
【説明】
【項目】
(1) 情報システム戦略
自社の経営戦略,事業戦略を実現することを目的に,情報システムが構築されることを理解する。
(2) 戦略目標
経営戦略や事業戦略は,経営環境の分析やSWOT分析などを通じて,具体的な目標が設定されることを理解する。
用語例:EA(Enterprise Architecture)

小分類19 「業務プロセス」

【目標】
【説明】
【項目】
(1) 業務プロセス
業務改善,問題解決を図るためには,現状の業務プロセスを分析して把握する必要がある。その際に利用する代表的なモデリングの考え方を理解する。
①モデリング
ビジネスの仕組みや業務プロセスを視覚的に表すモデリングの考え方を理解する。
②代表的なモデリング手法
代表的なモデル表記方法の考え方を理解する。
用語例:E-R図(Entity Relationship Diagram),DFD(Data Flow Diagram)
③業務プロセスの分析
業務プロセスのモデル化に関する代表的な手法やシステムを理解する。
用語例:BPR(Business Process Reengineering),BPM(Business Process Management),ワークフロー
(2) 業務改善及び問題解決
身近な業務にコンピュータやネットワークを効率的に活用することで,業務の効率化が図れることを理解する。また,業務改善及び問題解決に向けた分析力,思考力を身に付ける。業務フローやE-R図などから業務プロセスを把握し,表やグラフで表現された業務データを読み取り,問題点を発見し,改善する。
(3) ITの有効活用
ITを活用した,業務改善や業務効率化を図るための様々な方法について理解する。
①システム化による業務効率化
システム化には,製品化されたソフトウェアパッケージの導入,グループウェアやオフィスツールの導入,個別の情報システム開発・導入,ネットワークの構築などの方法がある。それぞれの特徴と利点を理解する。
②コミュニケーションのためのシステム利用
業務改善や業務効率化を進める上で必要となるコミュニケーションを円滑に行うため,具体的なツールの利用方法を理解し,業務に活用する。
用語例:テレビ会議,電子メール,電子掲示板,ブログ,チャット,SNS(Social Networking Service)
活用例:業務における電子メールの利用,共有ファイルのアップロード

小分類20 「ソリューションビジネス」

【目標】
【説明】
【項目】
(1) ソリューションとは
ソリューションビジネスでは,顧客との信頼関係を築き,顧客の問題点を知り,問題解決案を提案し,問題解決への支援を行うことを理解する。また,システム化におけるソリューション提供のプロセスを理解する。
(2) ソリューションの形態
システム化におけるソリューションでは,自社開発,ソフトウェアパッケージ導入,他社のサービス活用などの方法があることを理解する。
用語例:SaaS(Software as a Service),ASP(Application Service Provider),アウトソーシング,ホスティングサービス,ハウジングサービス,SOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ),SI(System Integration),クラウドコンピューティング

小分類21 「システム活用促進・評価」

【目標】
【説明】
【項目】
(1) 情報リテラシ
業務遂行のためにコンピュータやアプリケーションソフトウェアなどの情報技術を活用し,情報の検索,整理,分析,発信を行う。
(2) データ活用
情報システムによって蓄積されたデータを分析し,担当業務における業務改善や問題解決に活用する。
用語例:BI(Business Intelligence)ツール,データウェアハウス,データマイニング
(3) 普及啓発
情報システムを活用するための教育の実施など,普及啓発活動の重要性を理解する。
用語例:e-ラーニング,ディジタルディバイド

小分類18 「情報システム戦略」

1. 情報システム戦略

1.1 情報システム戦略

情報システム戦略では,自社の経営戦略,事業戦略を実現することを目的に,情報システムが構築されることを理解する。

1.2 EA(Enterprise Architecture)

(1) EAとは

EA(Enterprise Architecture)とは,組織の全体最適化の観点より,組織全体の業務とシステムを統一的な手法でモデル化し,業務とシステムを同時に改善することを目的とした,組織の設計・管理手法のことである。

従来,会計処理,生産管理など現場の効率化を優先してITが導入されてきたが,このような「部分最適化」では十分なIT投資効果は期待できないことが明らかとなってきた。 こうした状況から生み出された新しい概念が,EA(Enterprise Architecture)である。

(2) EA導入の目的

政府のEA導入の目的としては,大きく次の3つが挙げられる。 これらは,政府と同様の課題を持つ地方自治体にも当てはまり,民間企業でも同じように活用できるものと考えられる。

  1. IT投資の合理化・効率化
    →現状を明確化,改善する
  2. 顧客思考への転換による高度な行政サービスの実現
    →理想像を共有する
  3. 統合化・合理化プロセスの提示
    →理想に至るプロセスを共有する
(3) EAの役割

EAは,前述の3つの目的を実現するため,次の4つの役割を持っている。

  1. 業務とシステム間の関係と現状を明確化する
  2. 現状から理想に至る活動を明確化し,改善サイクルを確立する
  3. 情報資産と業務との関係を明確化する
  4. 長期的な設計思想と技術の世代管理に関する指針を示す
(4) EAの構成

EAは,組織全体として業務プロセスや情報システムの構造,利用する技術などを,整理・体系化したものであり,以下の4つの体系から構成されている。

体系 説明 成果物
1. 政策・業務体系
(BA:Business Architecture)
業務機能の構成
業務参照モデルに基づく全府省共通の定義に基づき,行政サービスの機能を体系化
(現在の組織や業務手順・呼称にこだわらない点に留意)
業務説明書,機能構成図(DMM),機能情報関連図(DFD),業務流れ図(WFA)など
2. データ体系
(DA:Data Architecture)
業務機能に必要となる情報の構成
各行政機能で入力し,出力されるデータの構成
情報体系整理図(UML)・情報分析図(CRUD),実体関連ダイアグラム(ERD),データ定義表など
3. 適用処理体系
(AA:Application Architecture)
業務機能と情報の流れをまとめた行政サービスの固まりの構成
技術とサービスの成熟度を踏まえたサービス群(バックオフィス,顧客サービスなど)の構成
情報システム関連図,情報システム機能構成図など
4. 技術体系
(TA:Technology Architecture)
各サービスを実現するための技術の構成
各サービスの固まりを実現するための,ソフトウエア,ハードウエア,ネットワークそれぞれの技術の構成
ネットワーク構成図,ソフトウェア構成図,ハードウェア構成図など

2. 戦略目標

経営戦略や事業戦略は,経営環境の分析やSWOT分析などを通じて,具体的な目標が設定されることを理解する。

2.1 バランススコアカード(BSC:Balance Score Card)を用いた戦略目標の立案

バランススコアカード(BSC:Balance Score Card)を用いる場合には,以下の4つの視点から戦略目標を立案する。

  1. 財務の視点
  2. 顧客の視点
  3. 業務プロセスの視点
  4. 学習と成長の視点

戦略目標の抽出が終わったら,各戦略目標の因果関係を上記の4つの視点に分けて図示した戦略マップを作成する。 なお,4つの視点の上位は下位の「原因・結果」,上位は下位の「目的・手段」となっている。


小分類19 「業務プロセス」

1. 業務プロセス

1.1 モデリング

(1) 業務モデル(Business Model:ビジネスモデル)

業務モデル(Business Model:ビジネスモデル)とは, 情報システム戦略の立案において,情報システムのあるべき姿を明確にするために,対象業務の活動やデータの流れをモデル化したもの。

(2) 業務プロセスモデル(Process Model)とデータモデル(Data Model)

業務モデルは,何に着目してモデル化を行うかによって,以下のような種類がある。

モデル 着目点 説明
業務プロセスモデル
(Business Process Model)
業務活動の工程・手順 業務プロセスモデルを作成するために,業務の工程・手順を統一化された形式でわかりやすく図解化することをプロセスモデリング(Process Modeling)という。
データモデル
(Data Model)
業務で取り扱うデータの構造やデータ同士の関連 データモデルを作成するために,業務で使用するデータの構造やデータ同士の関連を統一化された形式で表現することをデータモデリング(Data Modeling)という。
• ウォータフォールモデル(Waterfall Model),スパイラルモデル(Spiral Model),プロトタイピングモデル(Prototyping Model)
いずれもシステム開発の手法の一種。
• データクレンジング(Data Cleansing),データクリーニング(Data Cleaning)
データベースに保存されているデータに対して,重複や誤記,表記の揺れなどを探し出し,削除や修正,正規化などを行い,データの品質を高めること。
• データマネージング(Data Managing)
企業にとって重要な資産であるデータや情報を適切に収集,管理し,信頼性・整合性を確保し,そして活用するための手法のこと。

1.2 代表的なモデリング手法

(1) 業務プロセスモデルおよびデータモデルの代表的な記述法

業務プロセルモデルおよびデータモデルの代表的な記述法としては,以下のようなものがある。

モデル 記述法の例
業務プロセスモデル
(Business Process Model)
  • DFD(Data Flow Diagram)
  • 業務フロー図(Workflow Chart)
  • UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)のユースケース図(Use Case Diagram)・アクティビティ図(Activity Diagram)・状態遷移図(State Transition Diagram)
データモデル
(Data Model)
  • E-R図(Entity-Relationship Diagram:実体関連図)
  • UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)のクラス図(Class Diagram)
(2) 各種記述法

各記述法の詳細は以下のとおりである。

表: 代表的な業務モデルの記述法
記述法 種類 説明
DFD
(Data Flow Diagram)
業務プロセスモデル データの流れ(発生・吸収・処理・蓄積)に着目して,業務プロセスをモデル化して図に表したもの。
①データフロー(データの流れ),②プロセス(処理),③データストア(ファイル)(データの保存場所),④外部エンティティ(データ源泉・吸収)(データを使うシステムや人) の4つの基本要素で抽象化して表現する。
業務フロー図
(Workflow Chart)
業務プロセスモデル 業務の処理手順を,流れ図記号を用いて図に表したもの。
E-R図
(Entity-Relationship Diagram:実体関連図)
データモデル 実体(Entity)と実体間の関連(Relationship)という概念を用いて,データの構造やデータ同士の関連を図に表したもの。
UML
(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)
業務プロセスモデル/データモデル ユースケース図(Use Case Diagram)・アクティビティ図(Activity Diagram)・状態遷移図(State Transition Diagram)により,業務の処理の流れを図式的化することができる。
クラス図(Class Diagram)により,データの構造やデータ同士の関連を図式化することができる。
ユースケース図
(Use Case Diagram)
業務プロセスモデル システムにはどのような利用者(Actor:アクタ)が存在し,それぞれの利用者はどのような操作(Use Case:ユースケース)をするかを図に表したもの。
アクティビティ図
(Activity Diagram)
業務プロセスモデル フローチャート(Flow Chart)に似た図で,業務の処理手順やプログラムの制御の流れを図に表したもの。
状態遷移図
(State Transition Diagram)
業務プロセスモデル 状態の遷移に着目して,業務の処理やプログラムの制御手順などを図に表したもの。
クラス図
(Class Diagram)
データモデル データの構造やデータ同士の関連からシステムの静的な構造を図に表したもの。
• WBS(Work Breakdown Structure)法
システム開発の工程を細かい作業に分割し,分割された個々の作業を詳細に見積もり,これを積み上げて,全体の開発規模や所要工数を見積もる手法。
• 入れ子集合モデル(Nested Sets Model)
データモデルの一種。
• HIPO(Hierarchy plus Input Process Output)
機能モデルの一種。
• ロジックツリー(Logic Tree:論理木)
物事を上位概念から下位概念に向けて樹木状に分解して整理し,その原因や解決策を探る。
(3) DFD(Data Flow Diagram)

DFD(Data Flow Diagram)とは,データの流れ(発生・吸収・処理・蓄積)に着目して,業務プロセスをモデル化して図に表したもの。

以下の4つの基本要素で抽象化して表現する。

# 名称 意味 記号
データフロー データの流れ [DFD要素 (1) データフロー]
プロセス 処理 [DFD要素 (2) プロセス]
データストア
(ファイル)
データの保存場所 [DFD要素 (3) データストア]
外部エンティティ
(データ源泉・吸収)
データを使うシステムや人 [DFD要素 (4) 外部エンティティ]

DFDによる記述例を以下に示す。

[DFDの例]

(4) E-R図(Entity-Relationship Diagram:実体関連図)

E-R図(Entity-Relationship Diagram:実体関連図)とは,実体(Entity)と実体間の関連(Relationship)という概念を用いて,データの構造やデータ同士の関連を図に表したもの。

E-R図では,何種類かの記法が提案されているが,業務モデルの記述には,①実体(Entity),②関連(Relationship),③属性(Attribute)の3つの要素を使用するPeter Chen記法が用いられることが多い。

Peter Chen記法には,他の記法にはない以下のような特徴がある。

Peter Chen記法の例を以下に示す(下線は,実体を識別するために利用される属性である主キー(Primary Key)を示す)。

[E-R図の例 (1)]

一方,データベース設計(論理設計および物理設計)では,実体間の関連を「1対1」,「1対多」(「多対1」),「多対多」の4種類に単純化した,バックマン線図(Backman Diagram)などが用いられる。

バックマン線図の例を以下に示す(下線は主キーを示し,破線は,他の実体との対応付けに利用される属性である外部キー(Foreign Key)を示す)。

[E-R図の例 (2)]

なお,ITパスポートのテクノロジ分野では,バックマン線図のことを単にE-R図と呼ぶことが多いので,注意が必要である。

1.3 業務プロセスの分析

業務プロセスのモデル化に関する用語として,以下のようなものがある。

用語 意味
BPR
(Business Process Reengineering)
業務プロセスを抜本的に改革し,ITを駆使して業務の処理能力とコスト効率を高めること。
BPM
(Business Process Management:業務プロセス管理)
業務プロセスに,分析・設計,実行・実施,監視,改善・処置という管理サイクルを適用することで継続的改善を行うこと,および,そのために利用されるツール。
ワークフロー
(Workflow)
企業における業務の処理手順,および,その処理手順を規定し図解化したもの。
ワークフローシステム
(Workflow Management System)
電子化された申請書や通知書をあらかじめ決められた作業手順(決裁ルート)に従い,集配信(デリバリー)し,決裁処理を行うシステム。
業務のスピード向上および効率化,内部統制強化などが期待できる。
• RFP(Request For Proposal:提案依頼書)
ベンダ企業に対し,導入システムの概要や提案依頼事項,調達条件などを明示し,提案書の提出を依頼するための文書。
• SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証契約)
サービス提供者と利用者の間で,提供するサービスの具体的な内容,サービスの品質の達成(要求)水準,及び,それが達成できなかった場合の対応などをあらかじめ明示して契約すること。

2. 業務改善及び問題解決

業務改善,問題解決

3. ITの有効活用

3.1 システム化による業務効率化

3.2 コミュニケーションのためのシステム利用

(1) グループウェア(Groupware)

グループウェア(Groupware)とは,共通の仕事や目的に対して働く組織やグループを支援し,共同作業のための環境や仕組みを提供するソフトウェアのこと。

以下のような機能を提供することで,利用者間におけるコミュニケーションの円滑化や情報の共有化を実現する。

(2) SNS(Social Networking Service)

SNS(Social Networking Service)とは,会員になったユーザが閲覧できる,閉じたコミュニティを形成するインターネットサービスのこと。

(3) その他

テレビ会議,電子メール,電子掲示板,ブログ,チャット


小分類20 「ソリューションビジネス」

1. ソリューションとは

• ソリューション
企業の要求の実現や問題の解決を図る手法。
• ソリューションビジネス
ITを活用して,企業の要求の実現や問題の解決を支援するサービス。

2. ソリューションの形態

2.1 代表的なソリューションの形態

代表的なソリューションの形態として,以下のようなものがある。

名称 説明
SaaS
(Software as a Service)
インターネットを通じてアプリケーションの機能を利用者に提供するサービス。
利用者は,ASP同様に事業者のサーバにアクセスして契約に応じた機能を利用するが,複数の企業でサーバを共有する「マルチテナント方式」が特徴。
ASP
(Application Service Provider)
インターネットを通じてアプリケーションの機能を利用者に提供する事業者,その事業者により提供されるサービス,及び,そのようなサービスを提供するビジネスモデル。
利用者は,SaaS同様に事業者のサーバにアクセスして契約に応じた機能を利用する。
提供されるアプリケーションは,ERPやCRMなどの大規模な業務システムから,ワープロや表計算ソフトなど基本的なアプリケーションまで広範囲にわたる。
ホスティングサービス
(Hosting Service)
事業者が保有するサーバのディスクスペースの一部または全部を利用者に提供するサービス。
付加サービスとして,掲示板やブログなどのCGIや,独自ドメインの提供を行っている場合もある。
ハウジングサービス
(Housing Service)
ISPの局内に利用者が保有する通信機器やサーバを設置するサービス。
事業者は場所と電源,接続回線を提供する。
SI
(System Integration:
システムインテグレーション)
サービス
企業の情報システムの企画,設計,開発,構築,導入,保守,運用などを一貫して請負うサービス。
これらの工程のうちのいくつかを請け負う場合もある。
• ISP(Internet Service Provider:インターネット接続事業者)
光ファイバー回線,ISDN回線,一般電話回線,データ通信専用回線などにより企業や家庭にインターネットへの接続のサービスを提供する事業者。
付加サービスとして,電子メールアドレスやホームページ開設用ディスクスペースの提供を行っている場合も多い。
• MSP(Management Service Provider:マネージメントサービスプロバイダ)
サービス提供事業者が,ほかの企業の情報システムに関する企画や開発,運用,管理,保守業務を行うサービス。

2.2 アウトソーシング(Out-sourcing)

アウトソーシング(Out-sourcing)とは,特定の業務内容について社外へ委託することである。

利点としては,社内の業務を減らすことにより従来の業務に専念できたり,新規業務に対応する余裕ができたりする。

また,専門業者に委託する場合には,自社で対応していた場合より品質の高い対応が可能になる。

2.3 代表的なシステム設計・構築の手法

代表的なシステム設計・構築の手法として,POA,DOA,POAなどがある。

設計手法 説明
POA
(Process Oriented Approach:
プロセス指向アプローチ)
業務の手順や過程に着目してシステム設計・構築を行う手法。
POAで構築されたシステムは部署ごとに独立したシステムとなることが多く,部署を超えたシステムの連携が難しいことが多い。
また,業務内容に変更があると,大幅なシステムの改修が必要になったり,システム改修により過去のデータが利用できなくなったりすることが多い。
DOA
(Data Oriented Architecture:
データ指向アーキテクチャ)
データの構造や流れに着目してシステム設計・構築を行う手法。
企業内の業務データを統一的に扱うデータベースを最初に作ることで,個々のシステム設計・構築をシンプルにするという手法である。
統一的なデータベースを中心に各部署のシステムが構築されているため,部署を超えたシステムの連携が容易である。
また,業務内容の変更があっても,業務データの変更がない限りは,システムの改修が容易である。
SOA
(Service Oriented Architecture:
サービス指向アーキテクチャ)
ソフトウェアの機能やパーツを独立したサービスとして組み合わせることで,システム全体を構築する手法。
個々のソフトウェアはどのシステムとも連携できるよう標準化されているので,システム変更などにおいても素早く対応することができる。

2.4 その他

• ファシリティマネジメント(Facility Management施設管理)
業務にかかわる施設と環境を最適な状態に企画,管理,活用すること。

小分類21 「システム活用促進・評価」

1. 情報リテラシ

情報リテラシとは,コンピュータやアプリケーションソフトなどの情報技術を活用し,業務遂行のために情報の検索,整理,分析,発信を行う能力のことである。

• エンタープライズサーチシステム
企業内の情報を一括して管理し必要な情報を検索・抽出できるシステムのこと。
• 行政キオスク端末
公共施設などに地方自治体が設置し行政手続きや公共的な案内などに利用する端末のこと。
• 情報倫理
情報通信社会において必要とされる道徳やマナーのこと。
• ITガバナンス
企業が競争優位を構築するために,IT 戦略の策定・実行をガイドし,あるべき方向へ導く組織能力のこと。
• アクセシビリティ(Accessibility)
情報通信機器やソフトウェア,情報サービスなどを,障害者・高齢者などすべての人が利用可能であるかを表す度合いのこと。
• BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)

2. データ活用

【情報システムによって蓄積されたデータを分析し,担当業務における業務改善や問題解決に活用する。】

2.1 データマイニング(Data Mining)

データマイニング(Data Mining)とは,データベースに蓄積されている大量の生データに対し,統計やパターン認識などの手法を用いることによって,認識されていなかった規則性や関係性を導き出す手法のことである。

2.2 データウェアハウス(DWH:Data WareHouse)

データウェアハウス(DWH:Data WareHouse)とは,企業の様々な活動を介して得られた大量のデータを整理・統合して蓄積しておき,意思決定支援などに利用するものである。

• データセンタ(Data Center)
顧客のサーバを預かり,インターネットへの接続回線や保守・運用サービスなどを提供する施設のこと。

3. 普及啓発

【情報システムを活用するための教育の実施など,普及啓発活動の重要性。】

3.1 e-ラーニング(e-Learning:Electronic Learning)

e-ラーニング(e-Learning:Electronic Learning)とは,PCや携帯端末などの機器を用いて,インターネットなどのネットワークを活用した学習・教育のことである。

集合研修と比較した場合,e-ラーニングのメリット・デメリットとしては以下のようなものがある。

【メリット】
  1. 時間や場所の制約がなくなる。
  2. 自分のペースで学習することができる。
  3. 学習履歴を管理することができる。
  4. 場所代・講師代や,参加者の交通費・宿泊費などのコストを削減できる。
【デメリット】
  1. リアルタイムに講師や他の受講生と交流が取れない。
  2. 臨場感と強制力がない。
  3. 実技を必要とする科目には向かない。
  4. ITスキルおよびIT環境のない受講者に受講させることが難しい。

3.2 ディジタルディバイド(Digital Divide:情報格差)

ディジタルディバイド(Digital Divide:情報格差)とは,PC保有の有無などによって,情報技術をもつ者ともたない者との間に生じる,情報化が生む経済格差のこと。

• ダイバーシティ(Diversity)
個人や集団の間に存在するさまざまな違い,すなわち,多様性のこと。
• ディジタルデモクラシー(Digital Democrac)
行政活動にITを取り入れることで,政治家と行政,政治家と市民・企業間のコミュニケーションがより密接になった民主政治の形態のこと。

すぎうら しげき <>