情報システムの運用(第12回)
プロジェクトマネジメント(マネジメント系・プロジェクトマネジメント)
配布資料
- 第12回(問1~問24)
- 解答なし,解答あり,解説(要ID・パスワード)
訂正
(なし)
中分類10 「プロジェクトマネジメント」
【位置付け】
表: ITパスポート出題範囲(マネジメント系)
共通キャリアスキルフレームワーク |
出題範囲(出題の考え方) |
分野 |
大分類 |
中分類 |
マ ネ ジ メ ン ト 系 |
4 | 開発技術 |
8 | システム開発技術 |
- 要件定義,システム設計,プログラミング,テスト,ソフトウェア保守などシステム開発のプロセスの基本的な流れを問う。
- システム開発における見積りの考え方を問う。
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9 | ソフトウェア開発管理技術 |
- 代表的な開発モデルや開発手法に関する意義や目的について問う。
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5 | プロジェクトマネジメント |
10 | プロジェクトマネジメント |
- プロジェクトマネジメントの意義,目的,考え方,プロセス,手法を問う。
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6 | サービスマネジメント |
11 | サービスマネジメント |
- ITサービスマネジメントの意義,目的,考え方を問う。
- サービスデスク(ヘルプデスク)など関連項目に関する理解を問う。
- コンピュータやネットワークなどのシステム環境整備に関する考え方を問う。
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12 | システム監査 |
- システム監査の意義,目的,考え方,対象を問う。
- 計画,調査,報告など,システム監査の流れを問う。
- 内部統制,IT ガバナンスの意義,目的,考え方を問う。
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【小分類】
【目標】
- プロジェクトマネジメントの意義,目的及び考え方を理解する。
- プロジェクトマネジメントのプロセスの基本的な流れを理解する。
【説明】
- システム開発プロジェクトを円滑に推進するために,プロジェクトマネジメント全般の基本的な知識を理解する。
【項目】
- (1) プロジェクトマネジメント
- プロジェクトマネジメントとは何か,どのようなプロセスがあるかを理解する。
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- ①プロジェクトとは何か
- プロジェクトの意義及び特徴を理解する。
- ②プロジェクトマネジメントのプロセス
- プロジェクトを立ち上げ,計画に基づいてプロジェクトを進め,レビューなどを通じて進捗,コスト,品質及び人的資源をコントロールし,目標を達成する流れであることを理解する。
- 用語例:プロジェクト憲章,プロジェクトマネージャ,プロジェクトメンバ,ステークホルダ,プロジェクト・スコープ・マネジメント,プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント,プロジェクト・リスク・マネジメント,WBS(Work Breakdown Structure),アローダイアグラム,ガントチャート
- 活用例:業務における最適な人的資源の配置,プロジェクトのスケジュール管理,業務の進捗報告の仕方
小分類27 「プロジェクトマネジメント」
1. プロジェクトとは
プロジェクトとは,ある目的を達成するために,有限の期限を定めてチームを形成し,成果物を生み出す作業のこと。
2. プロジェクト組織
- • プロジェクト組織
- 特定の課題のもとに各部門から専門家を集めて編成し,期間と目標を定めて活動する一時的かつ柔軟な組織。
他の組織形態として,職能別組織(機能別組織),事業部制組織,マトリックス組織などがある。
3. PMBOKにもとづくプロジェクトマネジメントの流れ
PMBOK(Project Management Body Of Knowledge)とは,米国の非営利団体PMI(Project Management Institute)が策定した,プロジェクトマネジメントの知識体系。
5つのプロセス群
PMBOKにもとづくプロジェクトマネジメントでは,以下の5つのプロセス群の順にプロジェクト管理を実施する。
- (1) 立上げプロセス群
- プロジェクトを定義し,認可する。
- 具体的には,「プロジェクト目標の明確化」などの作業がある。
- 代表的な成果物にプロジェクト憲章がある。
- (2) 計画プロセス群
- 計画を策定する。
- 具体的には,「予算立案」,「スケジュール立案」などの作業がある。
- 代表的な成果物にプロジェクト計画書がある。
- (3) 実行プロセス群
- 計画に基づいきプロジェクトを実行する。
- (4) 監視コントロールプロセス群
- それらの過程における監視やレビューを行う。
- 具体的には,「進捗管理」などがある
- (5) 終結プロセス群
- プロジェクト目標の達成により終了する。
成果物への記載内容
プロジェクト憲章とプロジェクト計画書には,以下のような内容を記載する。
- • プロジェクト憲章
- 「プロジェクトの目的」など
- • プロジェクト計画書
- 「体制」,「スケジュール」,「品質マネジメント計画」など
なお,「業務フロー」や「画面レイアウト」は外部設計書,「プログラム構造」は内部設計書に記載される(いずれも実行プロセス群での成果物)。
9つの観点
PMBOKではプロジェクトを遂行する際に,以下のの9つの観点(知識領域)でマネジメントを行う必要がある。
- スコープ(プロジェクトの目的と範囲)
- 時間
- コスト
- 品質
- 人的資源
- コミュニケーション
- リスク
- 調達
- 統合管理
4. 制約条件
プロジェクトで考慮すべき制約条件としては以下の3つがある。
- 納期(いつまでに)
- 予算(どれだけのお金で)
- 対象範囲(何を行うか)
5. リスク管理
リスク管理の特徴は以下の通り。
- リスクの発生を完全に防ぐことは不可能なので,リスク発生による被害を最小限にする事後対策も重要である。
- システム開発では,システム化計画(企画)の段階から,リスク管理を実施する必要がある。
- リスク管理では個人に依存するものも含む。
リスクの代表的な要素としては,以下の3点がある。
- 納期
- 予算
- 品質
ウォータフォール型のソフトウェア開発では,過程の上流の誤りは下流すべてに影響する。
そのため,誤りの修復コストは,過程の上流で発生するほど修復コストが高くなる。
6. プロジェクトのスケジュール短縮の方法
プロジェクトのスケジュール短縮の方法には,以下の2種類がある。
- ① クラッシング(Crashing)
- クリティカルパス上の作業を担当する要員の数を増やす。
- ② ファストトラッキング(Fast Tracking)
- 順番に行うように計画した作業を並行して行うように変更する。
7. 工程管理
工程管理で使用される図には,アローダイアグラム,ガントチャート,マイルストーンチャートなどがある。
アローダイアグラム (Arrow Diagram) |
作業工程の順序や相互関係を表す図。
重点管理すべきクリティカルパスを求めることができる。
個々の作業の順序関係,所要日数,余裕日数などが把握できる。
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図: アローダイアグラムの例
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ガントチャート (Gantt chart) |
作業別に実施期間の予定と実績を棒状に図示し,作業の進捗状況を表したもの。
時間を横軸にし,各作業(タスク)を縦軸に取って所要期間に比例した長さの棒で表す。
作業開始と作業終了の予定と実績や,現時点の進捗などが把握できる。
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図: ガントチャートの例
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マイルストーンチャート (Milestone chart) |
工程管理上の重要ポイントの把握に適しており,個人の進捗管理などに用いられる。 |
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図: マイルストーンチャートの例
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なお,マイルストーン(Milestone)とは,プロジェクト管理で重要な作業の区切り(節目)のことである。
「~作業」や「~工程」のような期間ではなく,「~作業開始日」(「~作業終了日」)や「~工程開始日」(「~工程終了日」)のような期日である。
- • E-R図
- ータベースの概念設計に用いられる図。
- 体と実体間の関連という2つの概念で表現する。
- • 状態遷移図
- MLで用いられる図の一つ。
- ジネスプロセスやコンピュータプログラムの状態の変化を記述する。
8. EVM(Earned Value Management:アーンドバリューマネジメント)
- • EVM(Earned Value Management:アーンドバリューマネジメント)
- 作業の出来高の時間的な推移を表現するのに適しており,費用管理と進捗管理が同時に行える。
9. その他
- • WBS(Work Breakdown Structure)
- 作業を階層的に分解して,管理可能な大きさに細分化する。
- ロジェクト全体の作業をトップダウン的(段階的詳細化)に階層化して,各作業を管理可能な大きさに細分化し,それぞれの作業に内容・日程・目標を設定する手法。
- • OJT(On the Job Training)
- 実際の仕事を通じて,必要な技術,能力,知識などを身に付けさせる教育訓練のこと。
- • SI(System Integration)
- 営戦略の策定から,情報システムの開発・運用・保守までを一貫してけ負う業務のこと。
- • ストラテジ(Strategy:経営戦略)
- 織が目的やビジョンを達成するために行うべき,業展開上の基本方針や執行計画のこと。
- • コーポレートガバナンス(Corporate Governance:企業統治)
- 客や市場から信頼を獲得するための経営活動の健全化を目的とした取組みのこと。
- • ROI(Return On Investment:投資利益率)
- 発の所要日数と費用がトレードオフの関係にある場合に,総費用の最適化を図る。
すぎうら しげき <>