情報システムの運用(第13回)
サービスマネジメント(マネジメント系・サービスマネジメント)
配布資料
- 第13回(問1~問23)
- 解答なし,解答あり,解説(要ID・パスワード)
- 第13回 補足(問1~問5)
- 解答なし,解答あり,解説(要ID・パスワード)
訂正
(なし)
中分類11 「サービスマネジメント」
【位置付け】
表: ITパスポート出題範囲(マネジメント系)
共通キャリアスキルフレームワーク |
出題範囲(出題の考え方) |
分野 |
大分類 |
中分類 |
マ ネ ジ メ ン ト 系 |
4 | 開発技術 |
8 | システム開発技術 |
- 要件定義,システム設計,プログラミング,テスト,ソフトウェア保守などシステム開発のプロセスの基本的な流れを問う。
- システム開発における見積りの考え方を問う。
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9 | ソフトウェア開発管理技術 |
- 代表的な開発モデルや開発手法に関する意義や目的について問う。
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5 | プロジェクトマネジメント |
10 | プロジェクトマネジメント |
- プロジェクトマネジメントの意義,目的,考え方,プロセス,手法を問う。
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6 | サービスマネジメント |
11 | サービスマネジメント |
- ITサービスマネジメントの意義,目的,考え方を問う。
- サービスデスク(ヘルプデスク)など関連項目に関する理解を問う。
- コンピュータやネットワークなどのシステム環境整備に関する考え方を問う。
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12 | システム監査 |
- システム監査の意義,目的,考え方,対象を問う。
- 計画,調査,報告など,システム監査の流れを問う。
- 内部統制,IT ガバナンスの意義,目的,考え方を問う。
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【小分類】
【目標】
- ITサービスマネジメントの意義,目的,考え方を理解する。
【説明】
- 情報システムを安定的かつ効率的に運用し,また,利用者に対するサービスの品質を維持・向上させる活動が必要であることを理解する。また,そのための運用管理の方法としてITサービスマネジメントがあることを知り,その意義,目的,考え方を理解する。
【項目】
- (1) ITサービスマネジメント
- ITサービスマネジメントは,IT部門の業務を「ITサービス」としてとらえ,体系化することでIT運用の効率化を図り,可用性をはじめとするサービスの品質を高めようとする運用管理の方法であることを理解する。
- (2) ITIL
- ITサービスマネジメントのフレームワークとして,ITIL(Information Technology Infrastructure Library)という考え方があることを理解する。
- (3) サービスレベル合意書
- ITサービスマネジメントでは,提供するサービスの品質と範囲を明文化し,サービスの委託者との合意に基づいて運用管理するために,サービスレベル合意書(SLA:Service Level Agreement)を結ぶことを理解する。
- (4) サービスレベル管理
- サービスの委託者と提供者の間で合意したサービスレベルを達成するために,PDCAサイクルでサービスレベルの維持・向上を図るサービスレベル管理(SLM:Service Level Management)があることを理解する。
【目標】
- サービスサポートにおけるサービスデスクなどの関連項目を理解する。
【説明】
- ITサービス運用を理解するために,サービスサポートの中核にあるサービスデスク(ヘルプデスク)の基本的な役割と,サービスサポートに含まれる管理機能(役割)の基本的な構成を知る。
【項目】
- (1) サービスサポート
- 日常的な運用に関する一連の活動として,サービスサポートはどのような役割・機能から構成されているかを理解する。
- 用語例:インシデント管理(障害管理),問題管理,構成管理,変更管理,リリース管理,バージョン管理
- (2) サービスデスク(ヘルプデスク)
- サービスデスクは,システムの利用者からの問合せに対して単一の窓口機能を提供し,問合せの記録と管理,適切な部署への引継ぎ,対応結果の記録などを行うことを理解する。
- 用語例:エスカレーション,FAQ
【目標】
【説明】
- 企業などがシステム環境を最善の状態に保つための考え方として,ファシリティマネジメントがあることを理解する。
【項目】
- (1) システム環境整備
- コンピュータ,ネットワークなどのシステム環境や施設,設備を維持・保全するシステム環境整備の必要性を理解する。
- 用語例:グリーンIT(Green of IT),無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply),自家発電装置,セキュリティワイヤ,サージ防護
- (2) ファシリティマネジメント
- 建物や設備などの資源が最適な状態となるように改善していくために,ファシリティマネジメントという考え方があることを理解する。
小分類28 「サービスマネジメント」
(1) ITサービスマネジメント
ITサービスマネジメントとは,ITに関するサービスを提供する企業が,顧客の要求事項を満たすために,運営管理されたサービスを効果的に提供すること。
サービスサポートとサービスデリバリの2種類からなる。
- 1) サービスサポート
- 以下の①~⑤の5つのプロセスと⑥の1つの機能ある。
- ①インシデント管理(障害管理)
- サービスの復旧を速やかに行い,事業活動への影響を最小限に抑える。
- ②問題管理
- インシデント(障害)の根本原因の追及し,対策および再発防止策の策定を行う。
- ③構成管理
- ITサービスの構成要素を把握し,構成情報の維持管理および確認・監査を行う。
- ④変更管理
- ITサービスの構成要素の変更を効率的に管理する。
- ⑤リリース管理
- 変更管理プロセスで承認された内容を実環境に正しく反映させるための作業(リリース作業)を行う。
- ⑥サービスデスク(ヘルプデスク)
- システムの利用者からの製品の使用方法,トラブル時の対処方法,苦情などの様々な問合せに対して単一の窓口機能を提供し,問合せの記録と管理,適切な部署への引継ぎ,対応結果の記録などを行う。
- 2) サービスデリバリ
- 以下の①~⑤の5つのプロセスがある。
- ①サービスレベル管理
- ②ITサービス財務管理
- ③可用性管理
- ④ITサービス継続性管理
- ⑤キャパシティ管理
インシデント管理(障害管理)
情報システムの評価指標:RASIS(レイシス)
要素 |
内容 |
Reliability(信頼性) |
故障のしにくさ。 |
Availability(可用性) |
稼働率(サービスをどれくらい利用できるか)の高さ。 |
Serviceability(保守性) |
障害復旧の迅速さ。 |
Integrity(完全性・保全性) |
データ破損や不整合の起こりにくさ。 |
Security(機密性・安全性) |
不正アクセスや機密漏洩の起こりにくさ。 |
ハードウェアの故障
主要な原因として,初期故障,偶発故障,摩耗故障の3種類がある。
なお,ハードウェアの故障率は,初期故障のため導入直後が高く,初期故障の減少にともない徐々に下がって,偶発故障の一定値になり,摩耗故障のため再度徐々に高くなる,バスタブ曲線になる。
問題管理
データベースのバックアップ方式
データベースのバックアップ方式には,フルバックアップ方式と差分バックアップ方式と増分バックアップ方式がある。
- • フルバックアップ方式
- すべてのデータをバックアップする。
- バックアップに要する時間は長いが,回復はフルバックアップのデータで修復するだけでよい。
- • 差分バックアップ方式
- 前回のフルバックアップからの変更のみをバックアップする。
- バックアップに要する時間は短いが,回復はフルバックアップのデータで修復した後に,差分を加える必要がある。
- • 増分バックアップ方式
- 前回のバックアップ(フルバックアップまとは増分バックアップ)からの変更のみをバックアップする。
- バックアップに要する時間は最も短いが,回復はフルバックアップのデータで修復した後に,フルバックアップ以降のすべての増分を加える必要がある。
一般的には,週単位などでフルバックを行い,その間の日単位などで差分バックアップまたは増分バックアップを行う。
サービスデスク(ヘルプデスク)
オンラインマニュアル
更新の費用や手間が印刷されたマニュアルより小さいため,アプリケーションの更新に合わせてマニュアルを更新することが可能である。
その他
システム運営管理における管理情報の取扱い
- 管理者の人数は,情報漏洩を防ぐため少人数にすることが好ましいが,一人では休暇時や急な休退職時に問題が発生する。
- 管理用アカウントは,責任の所在をはっきりさせるために個々の管理者専用のものを使用する。
- 公開には,セキュリティレベルなどの考慮が必要である。
(2) ITIL
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)とは,コンピュータシステムの運用・管理業務に関する体系的なガイドラインである。
- • ITSS(IT Skill Standard,ITスキル標準)
- 経済産業省が定めたITスキル標準で,個人のIT関連能力を職種や専門分野ごとに明らかにするための指標の体系である。
(3) サービスレベル合意書
SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証契約)とは,サービス提供者と利用者の間で,提供するサービスの具体的な内容,サービスの品質の達成(要求)水準,及び,それが達成できなかった場合の対応などをあらかじめ明示して契約すること。
(4) サービスレベル管理
SLM(Service Level Management:サービスレベル管理)とは,PDCAにもとづきSLAの実現を監視・管理すること。
以下の4つのプロセスがある。
- ①可用性管理
- ハードウェア故障やソフトウェア障害のような,日常的に発生するリスクに対する管理のこと。
- ②キャパシティ管理
- コンピュータ資源の使用率やネットワークトラフィックが,現在及び将来に予測されるキャパシティに対して,要求されるパフォーマンスを実現できるように監視すること。
- ③ITサービス財務管理
- コストを把握することで,事業の採算性及び妥当性を管理すること。
- ④ITサービス継続性管理
- 自然災害や事故のような,非日常的な要因で発生するリスクに対する管理のこと。
小分類29 「サービスサポート」
(1) サービスサポート
サービスサポートとは,ITサービスを管理するプロセスの総称。
以下の①~⑤の5つのプロセスと⑥の1つの機能ある。
- ①インシデント管理(障害管理)
- サービスの復旧を速やかに行い,事業活動への影響を最小限に抑える。
- ②問題管理
- インシデント(障害)の根本原因の追及し,対策および再発防止策の策定を行う。
- ③構成管理
- ITサービスの構成要素を把握し,構成情報の維持管理および確認・監査を行う。
- ④変更管理
- ITサービスの構成要素の変更を効率的に管理する。
- ⑤リリース管理
- 変更管理プロセスで承認された内容を実環境に正しく反映させるための作業(リリース作業)を行う。
- ⑥サービスデスク(ヘルプデスク)
- システムの利用者からの製品の使用方法,トラブル時の対処方法,苦情などの様々な問合せに対して単一の窓口機能を提供し,問合せの記録と管理,適切な部署への引継ぎ,対応結果の記録などを行う。
インシデント管理(障害管理)
障害発生時の対策手順
- 障害状況を的確に把握
- 対処方法を判断
- 適切な対処を実行
基幹システムのクライアントでの障害発生
障害の発生が基幹側かPC側かを判断する必要がある。
オンラインシステムの各種ファイル
ファイル |
内容 |
マスタファイル |
取引台帳に相当するファイル |
トランザクションファイル |
個々の取引に対応するファイル |
ジャーナルファイル |
マスタファイルの更新の履歴を記録したファイル |
(2) サービスデスク(ヘルプデスク)
サービスデスク(ヘルプデスク)とは,システムの利用者からの製品の使用方法,トラブル時の対処方法,苦情などの様々な問合せに対して単一の窓口機能を提供し,問合せの記録と管理,適切な部署への引継ぎ,対応結果の記録などを行う。
利用者からの問合せが多発したときの対応方法
サービスデスク(ヘルプデスク)に問合せ窓口を一本化し,よくある問合せ内容はFAQとして公開する。
ストレスのコントロール方法
方法 |
内容 |
アサーション |
自分も相手も大事にしながら,上手に自分の意見を相手に伝えること。 |
アンガーコントロール |
怒りの感情をもった場合に,感情を表現せずに自分の中で沈静化させたり,感情を表現する場合でも,直接的に相手に怒りをぶつけないように,感情を制御したりすること。 |
ブレスエクササイズ |
意識的にゆっくりと深く呼吸することで,脳を活性化させ気持ちをリラックスさせること。 |
パワーナップ |
15分から30分程度の短時間の睡眠をとることで,疲労を回復させ気持ちをリフレッシュすること。 |
小分類30 「ファシリティマネジメント」
(1) システム環境整備
- • 無停電電源装置(UPS)
- 蓄電池(バッテリ)に蓄えた電気を用いて,電圧異常,瞬断,停電などによるコンピュータのデータの破損を防ぐ装置。
- 供給できる電力には限りがあるので,接続する機器はサーバ本体と補助記憶装置などデータ保存に必要な最小限の機器にすべき。
UPSからの電力供給に切り替わった場合,できる限り早くシャットダウンを実施する必要がある。
- また,瞬間的に大電流が流れるプリンタなどは接続すべきではない。
(2) ファシリティマネジメント
ファシリティマネジメント(Facility Management:施設管理)とは,業務にかかわる施設と環境を最適な状態に企画,管理,活用すること。
すぎうら しげき <>